WILLCOM CORE(ウィルコムコア)は国際規格~2009年サービス開始準備進行中

ちょっとイベント疲れのイワナガ。現場リポートが続いていましたが、今回はちょっと志向を変えて少々アカデミックに。いや、私の担当しているWILLCOM CORE(ウィルコムコア)、これ、れっきとした国際規格に基づいたサービスなんです、というお話です。

日本発の国際通信規格
いわゆる通信の世界には国際規格と呼ばれるものがいくつもあります。「国際」というからには当然いろいろな国の人がそこに関与し、いろいろな国でその方式を利用できるように規格化され、必要な機関の承認を取る必要があります。WILLCOM COREと呼んでいるウィルコムのブロードバンド・ワイアレス・アクセスのサービスももちろん、そういった規格の一つに基づいています。
でも、どんな規格?なんていう名前の規格?誰がそれを決めたの?

XGP = WILLCOM CORE ? いや、厳密に言うとちょっとニュアンスが違います
eXtended Global Platform。略してXGP。これが、WILLCOM COREが採用している規格の名前です。先日私がリポートしたITU TELECOM ASIA 2008のときにもお話しましたが、あのときのブースの看板の一番上に掲げていたのが、このXGPという名称。そして、WILLCOM COREは、XGPという通信規格を利用したウィルコムの日本国内でのサービスの名称です。
ウィルコムとしてはXGPという名前はほとんど表に出しませんが、海外向けにはまずこの名称が表に出ます。そしてある国でこの通信規格が採用されたときには、大抵別のサービス名称がその国の通信事業者によって付けられます。規格として決まるのは無線を含めた純粋な通信手順の部分で、各国での具体的なサービスメニューは異なることがあります。その意味では、
「XGP規格を採用したウィルコムのサービス名称はWILLCOM COREです」
あるいは
「WILLCOM COREはXGP規格を採用しているウィルコムのサービス名称です」
などというのが正しい表現になります。
したがって、厳密に言うとXGP = WILLCOM COREでは無いことになります。でも、お使いになるお客さまから見たときには余り関係の無い話なので、特にそういう言い回しはしていません。

ワイアレス・ブロードバンド
WILLCOM COREが実現しようとしているのは、今の第3世代、あるいは第3.5世代携帯電話を上回る通信速度や、自由に動き回りながら使うことができるモビリティなどが実用になるサービス。これらの条件は、国連の通信標準化団体でのITU(International Telecommunication Union / 国際電気通信連合)や、日本で言うと総務省の関連資料で定義されているもので、これらの条件がクリアできていないものはワイアレス・ブロードバンドとは名乗れません。
昨年12月に、この種のサービスの提供のために新しい周波数帯を使うための事業認可があり、ウィルコムは新しい周波数帯のうちの30Mhz分をWILLCOM COREのために使うことが認められましたが、当然そういった条件をクリアしているサービスとして認められたのが最大の理由です。
因みに通信規格としての言い回しでは、これをBWA(Broadband Wireless Access / ブロードバンド・ワイアレス・アクセス)と呼んでいますが、お客さまの視点から見ると、無線で使えるブロードバンド、すなわち「ワイアレス・ブロードバンド」という言い方ができます。
サービスとしてどれくらいの通信速度をご提供できるかについてはまだ詳しくお話できませんが、メガbpsクラスの通信速度をご提供できる予定です。光ファイバーや電話線を経由しないブロードバンドのサービスだから、ワイアレス・ブロードバンド。今まで日本には無かった新しい常時接続のデータ通信サービスが始まります。

れっきとした国際通信標準規格
通信規格の標準化。これがITUの大きな役割のひとつです。
たとえば世界中に多くの言葉があります。通訳が必要だったり、それぞれの言葉の勉強をしないと話が通じません。でも、通信の世界でそんなことになっては困ります。そのためにいろいろな通信の分野でそれぞれに最適な通信規格が決められ、世界中で同じ規格のもとに機器が作られ、サービスが提供されます。たとえばケータイ電話のローミングやインターネット経由での通信など、できて当たり前のように思えるし普段余り気にしないことがほとんどですが、決まった通信規格があるからきちんと通信ができているわけです。

ITUという組織にはいくつかの部門があるのですが、XGPが規格として盛り込まれたのはITUの無線通信部門(ITU-R:ITU Radiocommunication Sector)が承認したITU-R M.1801という文書です。
RECOMMENDATION ITU-R M.1801
Radio interface standards for broadband wireless access systems,
including mobile and nomadic applications, in the mobile
service operating below 6 GHz
[ITU-R勧告 M.1801 :
モバイルおよび移動アプリケーションを含む、6Ghz以下(の周波数)でのモバイルサービスにおけるブロードバンド・ワイアレス・アクセスのための無線技術規格]

とでも訳せばよいでしょうか。それがこの文書のタイトルです。
実は、ここにあるnomadic applicationsを必要とする通信規格、というのが曲者の表現なのですが、XGP / WILLCOM COREが目指すのはmobile applicationsという表現にあたる、いわゆるモバイル通信分野です。

この文書の中には、たとえば802.16、802.11、HC-CDMA、I-CDMAなど見慣れない通信規格の名前がズラズラと出てきます。実は、これらが今後普及するといわれているいろいろな通信規格のいわば本名なのですが、このなか、"Annex 5"というセクションが "Next-generation PHS" for broadband wireless access (BWA) systems in the mobile serviceとなっています。ここに記載されていることが、まさに国際規格であることを示しています。

意外と見当たらない日本発の国際通信標準
XGP、そしてWILLCOM COREは世界中から優れた最先端の要素技術を取り込み、世界中のパートナーとの協力のもとに日本で新しいサービスとして組み上げた、れっきとした国産技術です。
でも、実は日本発の国際通信標準規格というのはあまり見当たりません。通信規格というのはお客さまからは普段見えない裏の技術ですが、今普通に使っているいろいろな通信の規格のほとんどが海外で作られた規格です。そんな中、XGP / WILLCOM COREはこれから普及するといわれているいろいろな通信規格と同じ技術をそのまま取り込みつつ、PHSで培ったネットワークや基地局の運営技術を生かすというのが基本的な考え方。
だから胸を張って、アジア各国を始めとした海外に紹介しつつ普及の働きかけをできるわけです。
だから胸を張って、ITUが主催するイベントに参加できるわけです。

海外への普及をウィルコムが全部やっているわけではなくて・・・
もちろん、国内外の多くの関係者の皆さん、およびメーカーの皆さんとの共同作業になっています。具体的に書くとご迷惑がかかる関係者の方もいらっしゃるのでどうしても「もごもご」になってしまうのですが、意外なほど関係者が多いのは事実です。そんな中、日本の通信事業者であるウィルコムが海外への規格普及への後押しとして直接できることは限られています。何しろウィルコムは日本の通信事業者。まずは日本のお客さまにきちんとサービスを提供するのが使命です。
一方、もともとPHSの規格の普及を目的にしたPHS MoU Groupと呼ばれる組織がPHS規格の普及の最前線に立って動いていましたが、XGPについてはXGP FORUMという組織が現在活動を開始しています。
各国の通信事業者や行政向けに採用を働きかける各種の活動。実はいろいろとやっています。

ウィルコムとしてはWILLCOM COREのサービスをきちんとご提供することが一番大事
当初の予定通り、来年2009年の4月にエリア限定サービス、10月には本格サービスを開始するための準備が着々と進んでいます。まだまだ裏側の作業が多く、相変わらずイワナガ得意の「もごもご」ばかりですが、定期的に進捗などをこの場を通じてお伝えできればと思っています。

余談ですが・・・
ITUのサイト、ドメインは.intです。まさに国連。いや、だからどうという話ではないんですけどね。

関連記事→WILLCOM CORE情報

トラックバック

このブログ記事に対するトラックバックURL:

このブログについて

ブロガー